応急手当の基礎知識

応急手当と救命処置

私たちはいつ、どこで、突然のけがや病気におそわれるか予測できません。このような時、家庭や職場でできる手当のことを応急手当といいます。病院に行くまでに応急手当をすることで、けがや病気の悪化を防ぐことができます。    

これらの中でも、最も重篤で緊急を要するものは、心臓や呼吸が止まってしまった場合です。心筋梗塞(心臓の病気)や脳卒中(脳の病気)などは、何の前触れもなく起こることがあり、心臓と呼吸が突然止まってしまうこともあります。プールでおぼれたり、喉に物を詰めてしまった場合など、何もしなければやがては心臓と呼吸が止まってしまいます。 

ついさっきまで元気にしていたのに、突然、心臓や呼吸が止まってしまった人の命を救うために、そばに居合わせた人ができる応急手当のことを救命処置といいます。  

心臓や呼吸が止まってしまった場合   

心臓や呼吸が止まった人の治療は1分1秒を争います。下図を見てもわかるように、心臓や呼吸が止まった人の命が助かる可能性は、約10分の間に急激に少なくなっていきます。 

このようなときに、まず必要なことは「すぐに119番通報する」ことです。119番通報が早ければ病院に早く到着することができ、病院に到着するまでの間も、救急隊員による救急処置をより早く受けることができます。

しかし、それだけでは十分ではありません。救急車が到着するまでには全国平均で約6分30秒の時間を要します。もし、救急車が到着するまでに手をこまねて見ていたら、助かる命も助けられないことになります。そこで、そばに居合わせた人による救命処置が必要になるのです。

心肺停止後の時間経過と救命率のグラフ

心臓と呼吸が止まってからの 時間経過と命が助かる可能性をグラフで示しています。

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救命処置

心肺蘇生法について

心肺蘇生法とは、胸を強く圧迫したり、息を吹き込むことによって、止まってしまった心臓や呼吸の動きを助ける方法です。命が助かる可能性は時間とともに減っていきますが、そばに居合わせた人が心肺蘇生を行った場合には、その減り方がゆっくりになります。

心臓や呼吸が止まってしまい救急車で運ばれた人の生存率は、救急隊による心肺蘇生が3分以内に開始された場合に比べて、10分以上経過してからでは4割まで低下していましたが、市民による応急手当を受けた人の生存率は、応急手当を受けなかった人の場合に比べて1.4倍もありました。

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救命のリレー

心臓や呼吸が突然止まった人の命を救うには何をすればよいのでしょうか。まず、119番通報をして、救急車が到着するまでの間に、心肺蘇生法を行い、近くにAEDがあれば使用します。救急車が到着したら、救急隊員に引き継ぎます。救急隊員は必要に応じて高度な救急処置を行いながら、病院へ向かいます。そして病院では専門の医師によってさらに高度な救命医療が行われることになります。

救命リレー

救命のリレー

4つの要素、「119番通報」「応急処置」「高度な救急処置」「高度な救命処置」をうまくつなげて命を助ける。これが「救命のリレー」です。この救命のリレーのどれか一つ欠けても、命を救えるチャンスは少なくなってしまいます。しかも、救命のリレーの4つの要素のうち二つは、居合わせた人の手にかかっています。まず、発見したら119番通報し、救命処置を始めることで、この大切な救命のリレーをスタートさせてください。

何の心構えもなく、突然目の前で人が倒れたら戸惑ってしまうのは当然です。しかし、一度でも練習しておけば、少しの勇気さえあれば、人の命を救うための手助けは誰にでもできるのです。

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