はじめに

  平成23年第1回市議会定例会の開会にあたり、新年度における施政の方針を申しあげ、議員各位並びに市民の皆さんのご理解とご協力をいただきたいと思います。

 昨年は多くの市民の皆さんの参画のもと、これから10年間のまちづくりの指針となる「加古川市基本構想」を策定し、将来の都市像を「いつまでも住み続けたい ウェルネス都市 加古川」と定めました。

 私は「行政は市民の幸せのためにある」を信念に、就任以来、市政運営に携わっておりますが、その信念を変えることなく、この新しい基本構想や本年2月に策定した「加古川市総合基本計画」に沿った、市民と行政との協働によるまちづくりを進めてまいります。

 まちづくりの主役は市民の皆さんです。愛着と誇りある「ふるさと加古川」を未来ある子どもたちに引き継ぐため、行政と地域の力を結集し、加古川市が活力に富み、市民一人ひとりが幸せを実感できるまちとなるよう願いを込めまして、平成23年度の施政方針を述べさせていただきたいと思います。

 

 昨年を振り返って

  さて、本市は、昨年6月15日に、記念すべき市制施行60周年を迎えることができました。記念式典や「全国川サミットin加古川」「全国市町村交流レガッタ」「ジャパンラグビートップリーグ戦」などの記念事業をはじめ、「踊っこまつり」や「加古川楽市」など多数の協賛事業が開催されました。また、「わがまち加古川60選」として新たな名所10選を追加するとともに、加古川事典第3刊となる情報誌「かこ・スタイル」が発刊されるなど、多くの方々に市制60周年を盛り上げていただきましたことを心よりお礼申しあげます。

 本市が着実に東播磨の中核都市として発展してまいりましたことは、ひとえに市民の皆さんのご協力、先達のご尽力のおかげであると改めて感謝の意を表したいと思います。

 また、一昨年の「第35回将棋の日in棋士のまち加古川」を契機とし、市制60周年も相まって、本市にも「将棋」という新たな文化が根付いてまいりました。今では、観光大使でもある本市ゆかりのプロ棋士が5名も活躍されており、プロ棋士が指導する将棋教室や将棋大会が開催されるなど、将棋文化の普及や、子どもたちへの育成指導が積極的に図られております。昨年11月には将棋界の7大タイトル戦である「第23期竜王戦」、そして本年2月には「第60期王将戦」を鶴林寺を舞台に開催し、大勢の将棋ファンが熱い戦いを見守りました。

 そのような中、平成23年度から、若手棋士の登竜門として日本将棋連盟の公式戦を創設し実施することとしました。なお、公式戦の名称につきましては、2月23日に選考委員会が開催され、302人、延べ390件の応募の中から「加古川青流戦」と決定しましたことを、ご報告させていただきます。

 将棋は、家庭や地域だけでなく、職場や学校のクラブ活動をはじめ、世代や性別を超えて気軽に親しんでいただけるとともに、子どもたちの思考力や集中力を高め、礼儀や相手の気持ちを思いやる心などを学ぶ教育的な効果もあると考えます。今後も「棋士のまち 加古川」を広く発信し、市民の皆さんの将棋に対する愛着や理解をより一層高めていただき、将棋を通じた青少年の健全な育成や、地域の絆づくりにつながることを願っております。

 

市政を取り巻く環境について

 さて、現在わが国では、政治、経済、社会情勢など、あらゆる面において大きな変化が顕在化しつつあります。少子高齢化や人口減少社会を迎える中、単身世帯の増加に伴い孤立化が進むことが予想され、地域コミュニティ機能の維持が難しくなると言われております。

 また、長引く不況による就業率の低下や国内市場の縮小などから、わが国の経済が低成長の時代へと移行する中、雇用の不安定化が大きな問題となっております。

 こうした中、各自治体では、多様化する行政需要や新たな行政課題に対応するため、さらなる行財政改革の推進や分権社会に対応できる体制づくりが求められています。

 

  新年度の市政運営の基本的な考え方と重点施策について

  このような中、今回策定しました「加古川市総合基本計画」では、平成27年度を目標年次とするまちづくりの方向性として「安心して暮らせるまち」「心豊かに暮らせるまち」「うるおいのある環境の中で暮らせるまち」「にぎわいの中で暮らせるまち」そして「快適に暮らせるまち」と5つの基本目標を定めております。さらに、これらの基本目標に対し、横断的に施策を展開するために「市民生活の安全・安心の確保」と「まちの活力の維持・向上」の2つの基本方針を定めるとともに、施策ごとにまちづくりの指標を設定し、その評価・改善を行いながら、事業の展開を図ってまいります。

 とりわけ、平成23年度においては、私のマニフェストといたしました「安全で安心、豊かな暮らしづくり」「次代へつなぐ子育て、人づくり」「活力を生む基盤づくり」そして「地域の絆づくり」の4つの柱を最重点施策とし、着実に推進してまいりたいと考えております。

 

 安全で安心、豊かな暮らしづくり

 まず、1点目の「安全で安心、豊かな暮らしづくり」につきましては、依然として不安定な社会経済情勢の中、雇用の確保が市民生活の安定の基礎であることから、「若者就職応援事業」として、企業訪問バスツアーや就職セミナーを開催し、就労意欲の向上や雇用創出に向けた取り組みを進めてまいります。また、昨年に引き続き、勤労者住宅リフォーム資金の融資など、勤労者福祉の向上とあわせ地域経済の活性化を図ってまいります。さらに、学校園や老朽施設の耐震化をはじめ、消費者被害の未然防止に向けた消費生活センターの充実、防犯・交通安全対策など、市民生活の安全・安心の確保に取り組み、市民の豊かな暮らしを創出してまいりたいと考えております。

 また、緊急的課題であります加古川市民病院と神鋼加古川病院の統合・再編につきましては、4月1日より地方独立行政法人「加古川市民病院機構」により、新たに「加古川西市民病院」と「加古川東市民病院」として医療の提供体制をスタートさせます。今後は、両病院の得意分野を生かしながら、病院経営の安定を図りつつ、東播磨圏域の二次救急医療体制の要となる地域の中核病院として、将来にわたり安定した高度専門医療を提供してまいります。

 また、平成29年度を目途にしております新病院の建設につきましては、担うべき診療機能及び将来の医療需要、さらには本市や周辺地域の病院機能の最適化に留意して、そのあり方を検討してまいります。

 一方、人口が減少し、高齢化が進む地域社会にあっては、慢性期医療や休日診療などの提供についても、今後大きな課題となることから、新病院の検討とあわせ、病院跡地利用の中で検討してまいります。

 全国的には、医師や看護師不足の問題に代表されるように、病院経営並びに医療を取り巻く環境は、依然厳しいものがあります。今回の公立病院と民間病院の統合・再編は、全国的にも例を見ない取り組みであり、市民の命と健康を守り、そして安全で安心な暮らしを支える地域医療を整備するためには課題は数多くありますが、引き続き全力で地域医療の再整備に取り組んでまいりますので、ご理解とご協力をお願いいたします。

 

 次代へつなぐ子育て、人づくり

  次に、2点目の「次代へつなぐ子育て、人づくり」につきましては、昨年は、野口保育園を新築移転し病後児保育を実施するとともに、定員増や施設整備などを図りながら、保育環境の充実や子育てしやすい環境づくりを進めてまいりました。今後も引き続き、待機児童の解消に向けた取り組みを進めるとともに、就学前教育や保育環境の拡充に努めてまいります。特に、市立幼稚園の2年保育の全園実施に向けては、平成23年度から2園、平成24年度には残る3園を実施する予定としており、その安定的な実施にあたり、保育料の適正化もあわせて検討してまいります。さらに、昨年策定しました「かこがわ教育ビジョン(加古川市教育振興基本計画)」に沿って、次代を担う子どもたちの教育環境の充実に努めてまいります。

 また、国においては「子ども・子育て新システム」という新たな次世代育成支援のための包括的・一元的なシステムの構築が検討されているところですが、今後それらの動向も注視しながら、柔軟に対応できる体制づくりを検討してまいります。

 また、現在、ワクチン接種により感染予防効果が高いとされるヒブワクチンの費用の一部助成を行っているところですが、このたび国の補正予算による基金を活用し、中学1年生から高校1年生に相当する年齢の女子に子宮頸がん予防ワクチンの接種、また4歳までの乳幼児にヒブワクチン及び小児用肺炎球菌ワクチンの接種を、自己負担無く実施することとしました。今後は、これらの着実な実施に向け、より一層市民の皆さんへ周知を図ってまいります。

 さらに、「こども医療費助成事業」につきましては、引き続き小学3年生までの自己負担額を無料にするとともに、先般策定された兵庫県の「新行財政構造改革推進方策(第二次新行革プラン)」に沿って、新たに小学4年生から6年生までの通院にかかる医療費の一部助成の実施に向け調整を進めてまいります。

 これらの取り組みにより、子育て世代の経済的負担を軽減するとともに、ウェルネス都市にふさわしい市民の健康増進と育児支援施策の充実を図り、「子どもを産み育てやすいまち」の実現に全力を注いでまいります。

 

 活力を生む基盤づくり

 次に、3点目の「活力を生む基盤づくり」につきましては、便利で快適な、そして機能的で環境負荷の軽減にも配慮した、持続可能な生活基盤を整備してまいります。

 今後も引き続き、緊急に対策が必要な狭隘踏切や生活道路の改良などを行うとともに、鉄道各駅への利便性の向上を図ってまいります。昨年は、神野駅に北改札口がオープンし、あわせて地域のまちづくり活動の拠点となるコミュニティルームを開設いたしました。今後は、神野駅の自転車駐輪場や隣接する道路整備を行うとともに、厄神駅周辺につきましても、厄神駅前広場へアクセスする道路の整備を順次進めてまいります。

 一方、公共交通につきましては、公共交通空白地域での移動手段の確保や、鉄道駅へのアクセスの利便性の向上を図るため、「地域公共交通アクションプラン」に基づき、かこバス、かこタクシーや既存のバス補助路線の再編を行うとともに、より低コストで地域ニーズに沿った公共交通のあり方について、地域との協働により検討してまいります。

 また、加古川駅南西地区につきましては、防災機能の向上とあわせ、まちなか居住の促進と商業施設が一体となった拠点づくりのため、地域住民が主体となって進める「防災街区整備事業」を支援してまいります。

 また、加古川駅北地区に計画している健康増進施設の整備につきましては、加古川総合保健センター、加古川市加古郡医師会などで構成する委員会において、引き続き検討してまいります。

 次に、環境施策につきましては、CO2の排出抑制による低炭素社会の実現に向け、資源ごみを保管するストックヤードの建設に着手するとともに、老朽施設の設備更新に際してはESCO事業の導入について検討してまいります。また、公共施設に対し、エネルギーの使用の合理化に関する法律いわゆる「省エネ法」に対応した管理標準を策定するとともに、「省エネアップ支援事業」の継続による省エネルギー化と新エネルギーの利用促進を図ってまいります。

 次期ゴミ処理施設の建設につきましては、高砂市、稲美町、播磨町の東播二市二町による3年間の調査研究を経て、エリア全体としての維持管理コストの縮減や環境負荷の低減にもつながるとの判断により、広域化により推進するとの合意が整いました。今後は、平成34年の施設稼動に向けて、互いに連携をとりながら調整を進めてまいります。

 次に、下水道事業につきましては、効率的で効果的な経営を目指し、平成27年度の地方公営企業法適用に向け準備を進めるとともに、今後の下水道事業の経営方針について検討してまいります。

 また、水道事業につきましては、引き続き中西条浄水場の改修など計画的な施設整備や効率的な事業経営を推進し、安全で良質な水道水を安定的に供給してまいります。

 次に、農業・流通施策につきましては、引き続き公設地方卸売市場の活性化を図るとともに、「株式会社ふぁーみんサポート東はりま」との連携のもと、未利用農地の解消と活用など、農家の支援策と放棄田対策に努めてまいります。また、昨年より地域の特産物の知名度向上と消費拡大のため、阪神間など都市住民向けにキャンペーン活動を行っているところであり、より一層、農業や流通の振興を図ってまいりたいと考えております。

 

 地域の絆づくり

 最後に、4点目の「地域の絆づくり」につきましては、まず、高齢社会の到来への対応として、いつまでも住み慣れた地域で安心して暮らしていくためには、一人ひとりが地域と関わりを持ち、孤立しないことがさらに重要となってまいります。本市では、以前より民生・児童委員の皆さん方のご協力を得て、高齢者の実態調査やひとり暮らしの方の見守り活動を行っているところですが、昨年より認知症の方にもやさしいまちづくりを目指して「相談支援マップ」を全戸配布するとともに、地域で協力して見守る「徘徊SOSネットワーク」の構築に取り組んでおります。

 また、中学校区を一つのユニットとして、学校園や家庭、地域のつながりを図る「中学校区連携ユニット12」の活動をさらに推進するとともに、全ての公立幼稚園を活用し、子育て家庭と地域をつなぐ「地域子育て支援事業」を行ってまいります。さらに公民館を拠点とした従来の生涯学習事業を見直し、地域リーダーの養成や高齢者の地域活動への参画意欲を高める事業を実施し、地域の絆づくりにつながる魅力ある施策を展開してまいります。

 今後も、市民と行政の協働によるまちづくりを進めるため、世代間を越えた地域コミュニティの中核をなす町内会活動の促進をはじめ、企業の自主的な社会貢献活動の支援や、市民活動団体の活動支援を拡大するなど、新たなネットワークづくりやライフステージに応じた地域参加を促し、地域力の再生と拡大を図りたいと考えております。

 また、今年の11月には、姫路市でB級ご当地グルメの祭典、いわゆる「B-1(ビーワン)グランプリ」が開催されます。この機会に、加古川独自の食文化である「加古川のかつめし」をさらに全国にPRし、「食を通じたまちおこし」へとつながるよう、支援を行いたいと考えております。

 このように、地域の自主的なコミュニティ活動を応援し、そこから生まれる地域の絆を大きく育て、その絆を絶やすことなく継続させるためには行政として何ができるのか、どのような関わり方が最適なのかを職員一人ひとりが考え行動していくよう、私自身が先頭に立って取り組んでまいります。

 

 行政経営改革の推進について

 以上、平成23年度の重点施策を述べてまいりましたが、これらの実現に向けては、一方で行財政改革への取り組みが不可欠となってまいります。

 これまで、本市では4次にわたる行革緊急行動計画を実行し、職員定数の削減や給与構造の改革、公益法人の統廃合や業務の民間委託など、効率性や有効性の視点に立った行政経営の確立に向けて、大幅な見直しを進めてまいりました。

 しかしながら、地方行政を取り巻く財政状況は、依然として厳しく、今後さらに地方分権改革が進展し、補助金の一括交付金化や権限移譲に迅速かつ柔軟に対応していくためには、地方の経営能力や的確な判断力などが試される時代になっております。

 そこで、平成23年度から27年度の行財政改革の取り組みの指針となる「第5次行革緊急行動計画」を策定し、より強固な取り組みを進めてまいります。「人材能力の差が将来の経営能力の差となって現れる」という考えのもと、職員一人ひとりが行政課題を認識し、それぞれの役割、立場の中で改革を成し遂げることができるよう「職員の意識改革と人材育成」を主眼に据えて取り組んでまいります。

 人や物、財源といった経営資源の削減が避けられない厳しい状況の中においても、市民サービスの維持、向上を図るためには、市民が主体となった協働による行政運営を行うことが必要です。そこで、行政に対する市民満足度の向上を目指すため、「クレーム"ゼロ"」を目標として組織的に取り組み、自律型人材育成の推進と少数精鋭の機能する組織改革を進めてまいります。

 また、財政面におきましては「公共施設等整備基金50億円を含めた基金総額100億円を堅持すること」を数値目標に掲げ、基礎的な財政収支であるプライマリーバランスの安定的な黒字確保に努めてまいります。 これは、将来にわたって公共施設や公共設備の維持管理や延命化を図るとともに、不測の事態や災害時に市民サービスに支障をきたすことなく対応するための財源を確保するものです。そのため、引き続き選択と集中による事業展開のもと、受益と負担の公平性の観点から事業の見直しや、民間活力の導入など経営手法の改革に積極的に取り組み、効率性の高い市政運営に努めてまいります。

 私は、今後とも「温もりのある市政、信頼される市政を通じて『地域の絆に支えられる笑顔あふれる加古川』の実現」に向け、「一生懸命」の精神で取り組んでまいりたいと考えております。

 議員各位、そして市民の皆さんのより一層のご理解、ご協力をお願い申しあげ、平成23年度の施政方針といたします。